フリーランスとして年収300万円の場合、実際の手取額はどのくらいになるのか気になる方も多いでしょう。
ここでは一人暮らしと子ども1人の家族を例に、手取額の計算過程も含めてわかりやすく解説します。さらに、扶養控除の有無による違いや手取額の算出方法、手取額アップの工夫についても紹介します。
年収300万円の手取額はいくら?
年収300万円のフリーランスの場合、生活形態や扶養控除の有無によって手取額に違いが出ます。おおよその手取額を計算し、各ケースの条件も整理しました。
「一人暮らし」の手取額は約187万円
年収300万円のフリーランスの手取額は、約187万円です。
一人暮らしの場合、扶養控除がなく、国民年金や国民健康保険料を本人負担で支払う必要があります。経費を収入の10%と仮定し、所得控除や社会保険料を差し引いた結果、税金(所得税・住民税)も発生。これらを踏まえ算出された手取額は約187万円です。自営業で社会保険の負担が大きいことが影響しています。
- 年収:300万円
- 経費:30万円(売上の10%)
- 基礎控除:58万円
- 扶養控除:なし
- 国民年金保険料:21万円
- 国民健康保険料:所得割11.97%+均等割6.6万円(合計約38.9万円)
「子ども1人家族」の手取額は約175万円
年収300万円のフリーランスの手取額は、約175万円です。
子ども1人の家族では扶養控除76万円が適用され、課税所得が大幅に減るため所得税や住民税が減ります。一方、配偶者分の国民健康保険料の均等割額が増える影響で社会保険料がやや高くなります。結果として手取額は約175万円と、扶養控除なしの一人暮らしより若干少なくなります。
ただし、扶養控除や社会保険料の負担状況により手取額は変動しますので、正確な計算が必要です。
- 年収:300万円
- 経費:30万円(売上の10%)
- 基礎控除:58万円
- 扶養控除:76万円(配偶者と子ども1人分)
- 国民年金保険料:42万円(2人分)
- 国民健康保険料:所得割11.97%+均等割13.2万円(2人分、計約45.5万円)
手取額の計算方法
年収300万円のフリーランスの手取額を計算するためには、収入から各種控除や税金、社会保険料を差し引く必要があります。ここでは扶養控除なしの一人暮らしケースを例にわかりやすく解説します。
事業所得の計算
収入(売上)から必要経費を差し引いて事業所得を算出します。経費は収入の10%と仮定します。
(計算)300万円 - 30万円 = 270万円
所得控除の適用
事業所得から差し引く所得控除額を算出します。所得控除には以下のものが含まれます。
- 基礎控除 58万円
- 扶養控除 なし(今回は扶養控除なしのケース)
- 国民年金保険料 21万円
- 国民健康保険料(所得割)約32.3万円(270万円×11.97%)
- 国民健康保険料(均等割)6.6万円
上記を合計すると、所得控除額は約117.9万円になります。
課税所得金額の算出
事業所得から所得控除額を引き、課税所得金額を算出します。
事業所得-所得控除額=課税所得金額
(計算)270万円 - 117.9万円 = 約152.1万円
所得税の計算
所得税は課税所得に対応する税率をかけて計算します。所得税の速算表より、
(計算)152.1万円×5%=約7.6万円
となります。
所得税の速算表
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
住民税の計算
住民税は、「課税所得×10%+均等割」で計算します。基礎控除額など所得税とは異なりますが、ここでは簡易的に所得税の課税所得金額を使います。
(計算)152.1万円×10%+6.6万円=約22.8万円
手取額の計算
手取額は以下の計算式で算出します。
収入(売上)-経費-国民年金保険料-国民健康保険料-所得税額-住民税額=手取額
よって、年収300万円の一人暮らしの手取額は、
(計算)300万円 − 30万円 − 21万円 − 38.9万円 − 7.6万円 − 22.8万円 = 約187万円
フリーランスの手取額を増やす方法
この記事の計算方法を踏まえたうえで、手取額を増やす工夫を紹介します。
事業所得を減らす
経費をしっかり計上すれば税金が減り、手取りが増えます。
経費を増やすことで課税対象の所得が減り、所得税・住民税の負担が軽くなります。社会保険料も所得に応じて変わるため負担減に繋がります。業務に関係ある費用を漏れなく経費にしましょう。無関係な支出は罰則の対象です。
所得控除を増やす
控除を利用すると課税所得が減り、税金が減って手取りがアップします。
扶養控除や医療費控除、生命保険料控除などを活用すれば、所得税・住民税が少なくなり、結果的に手取りが増えます。控除は法律で認められた節税手段なので、漏れなく利用することが重要です。
iDeCoを利用する
iDeCoの掛金は全額が所得控除になり節税効果があります。
掛金分の所得税と住民税が減り、手元に残るお金が増えます。さらに運用益も非課税なので、老後資金の準備と節税が同時にできる制度です。
青色申告特別控除65万円を適用する
青色申告を利用すれば65万円の控除が受けられて節税できます。
正しく帳簿をつけて申告する必要がありますが、課税所得が減り所得税・住民税が軽くなります。社会保険料の計算基礎も下がり、結果的に手取りが増えます。申請には事前の届け出が必要なので注意しましょう。
まとめ
年収300万円のフリーランスの手取額は、扶養控除や家族構成、社会保険料の負担により大きく変動します。一人暮らしでは約187万円前後ですが、子どもが1人いる家族の場合は扶養控除が効き税負担が軽減され、約175万円となります。
正確な手取額を把握するには、収入や経費、控除の正しい理解が必須です。これらを理解して適切に節税対策を講じれば、手取額を効率よく増やすことが可能です。
ぜひ本記事の計算方法と工夫を参考にしてください。
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